20061030
区が実施している、江東区国民保護計画(素案)への意見集約に対する見解
 日本共産党江東地区委員会は次の見解を発表しました。
  区は区報で、国民保護計画(素案)への区民の意見を求めています。計画は、アメリカがひき起こす戦争に国民を強制動員する役割を果たすものです。多少の修正ですむものでなく、撤回しかありません。
 はじめに
  区がこうした計画を策定したのは国の悪政に従ったからです。
、 ○三年六月に「武力攻撃事態法」が成立。それにもとづき、○四年六月に「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(「国民保護法」)をはじめ七法が制定され、その具体化として各自治体に「国民保護計画」の制定を求め、区も作成したものです。
  この計画には、日本共産党区議団をはじめ、生活ネ、社民の区議が反対し、自民、公明、民主が賛成しました。
一、「国民保護法」の危険な役割
 「武力攻撃事態法」は、アメリカが海外でひき起こす戦争に自衛隊を引き込み、その支援活動に罰則つきで国民を強制動員するきわめて危険なものです。
@ 住民の安全より、軍事行動が最優先の計画
 「有事」と「災害」の相違点は、「災害は地方が主導す
るのに対して、有事は、国が主導する」(政府説明)ことです。つまり「国民保護」や「避難」の計画は米軍や自衛隊が主導することになり、国民の安全より軍事行動が優先することになります。
A アメリカの戦争へ全て強制動員の計画
 自治体に作成が義務づけられたのは「住民避難計画」だけでなく、「病院や学校、公民館など、地方自治体の施設を米軍・自衛隊に提供、医療関係者や輸送業者などの動員」「電力会社、NTT、バス、鉄道、航空会社とその労働者の動員計画」まで含まれています。これら全てが軍事優先となれば、住民の安全は守られません。
B国民の自由と権利の制限計画
 「武力攻撃事態法」は「高度の公共と福祉のためと判断すれば、憲法十三条等に反するものでない」(政府見解)としています。それは、アメリカの戦争への「従軍命令」や国民の土地、建物の強制収用、物資の強制収用など、国民の自由や権利の侵害を意味するものです。
 「武力攻撃事態法」にもとづく「国民保護計画」は災害救援時における住民避難訓練と全く違います。しかし、自治体は同じようなものと思わせ、住民の批判をさけようとしており、江東区の「計画」もそのように描いています。
二、区の国民保護計画(素案)と意見集約の問題点
@ 本当に区民の意見を聞くつもりなのか
 区報は「江東パブリックコメント制度スタート」などと国民保護計画(素案)への意見を求めています。しかし区報ではその柱しか紹介していません。実物は一一三ページにもおよぶもので、区は全文は区ホームページ、防災課、情報公開コーナー、各出張所、各図書館で閲覧できるとしていますが、どれだけの人が理解できるでしようか。しかも意見募集期間は区報で発表した日からわずか三週間です。
 これで「区民の意見を聞いて作成」では、民主的ではありません。区民に周知徹底できないような計画は撤回しかありません。
Aどの国が攻撃してくるのか、誰がテロをすると言うのか  区報では「武力攻撃」「大規模テロ」の文字が躍っています。具体的に何を想定しているのでしよう。全文では、武力攻撃は「核物質、生物剤、化学剤による攻撃」「弾道ミサイル攻撃」まで想定、しかし、どの国が攻撃すると言うのでしよう。大規模テロでは、ダム破壊、放射線物質保有施設等の破壊、航空機等による自爆テロなどを想定していますが、江東にはダムはありません。核・生物・化学物質攻撃に江東だけで避難計画を立てることなどできません。
 これこそ、仮想敵国を作り、軍事優先に住民を巻き込み、他国との友好を損なう最悪の道です。
 江東区は、非現実的な想定をするのではなく、憲法にもとづく平和外交を国に求め、区民 世論を高めるべきです。
B区民の権利は守れない
  区報では、国民の権利・利益の救済とだけ書かれていますが、全文で想定しているのは「特定物資の収用」「土地の収用」「公務員や医療、運輸労働者の動員」などです。もし収用や動員に応じなかったら、どんな罰を受けるのでしようか。 そのことは、何も書かれていません。
三、日本共産党区議団の奮闘
 党区議団は○六年第一回定例区議会で
●「武力攻撃事態法は、『武力攻撃が予測される』と政府が判断すれば、自衛隊とアメリカ軍が有事体制に入り、国民や自治体、民間機関も強制的に罰則つきで協力を義務づけている。明らかに憲法違反であり、住民の命と暮らしを守る自治体の役割ではない」
●「四三万区民を避難させ、他の自治体への移送計画をつくるなど、架空の計画」
●「有事にならない最大の国民保護は、平和憲法のもとでの外交、政府に平和外交を強く求めるべき、国民保護法はつくるべきでない」と区を厳しく追及しました。
 区は日本国憲法を「平和を守る取り組みにおいて、大きな原動力となった」と認めながら、憲法制定当時には想定されなかった国際情勢などを理由に、「国に働きかける意志はない」と、国の悪政に追随する立場に終始しました。
、江東区には地方自治体として、区民の平和と暮らしを守る防波堤の役割が求められています。
 「国民保護法」の危険な内容、江東区国民保護計画(素案)の矛盾点を示し、「計画(素案)は撤回せよ、憲法にもとづく平和外交こそ、区民の命と暮らしを守る最大の保障」の意見を、ファックスや葉書で区に集中しましょう。